難儀のある世(Учиртай Хорвоо) the final


ツェ・ロドイダムバー著

カモシカは再び地面にもぐりこみ、体が横たわってしまった。
ジープは通る時、片方のタイヤが余儀なく彼女の体の上を通ったのだった。

ジープは再び停まると中から、彼らになかなか追い越させなかったカモシカが今はもはや体を起こす微かな力すらなくなってしまった様子にうれしくなり、笑いながら狩り人たちが降りてきた。

足を伸ばしたまま倒れ、さらに全身が死直前の震えでびくびく動くカモシカは、最後の力を尽くし、我が子を隠したところに向かって、まるで命の火花を遺しているかのような目で見た。

「追いつかれない、打たれないのはいったい何だったのだ?」と一人が言うと、
もう一人がカモシカの横でわき腹の辺で両手を置き、自慢げに立っていた。

カモシカは再び頭を起こし、子供が静かに眠っている場所へ向かってもう一度見ようとしたところ、重い鉄の鞭がドカーンと彼女の頭に降りてきた。カモシカの息が最後に完全に絶えた。
運転手は鞭の先を使ってカモシカの目を刺してみながら、
「あの世に行っちまったみたいね」と言って、懐からガムを出し、ムシャムシャ噛み始めた。

カモシカの腫れあがった両乳がまるで追われる前の美しかった彼女の両耳のように凛々とし、そしてそこから白くて黄色の乳が搾り出され、草原の砂質の土壌にしみこみ、茶色に染めていた。

運転手の横に座っていた人は、今は少しも動けずに横たわっているカモシカの体を足ですくいあげて転がして、
「さっ、帰ろう。痩せ細ったこのメスカモシカで何をするのだ! 肥っていたのであればまたおいしいゆで肉が食べられてたのに。お前にあれまだ残っている?」ともう一人に向かって聞くと、向こうの一人が、
「ボトル半分はまだ残ってるよ」とピンク色の血がまだ流れているカモシカを観察しながら、
「しかもよく射ったねっ」と得意げに笑いながら答えた。
それからみんなジープの中に入り、帰る道に入った後、運転手の横の席の人が、
「話しのネタができたよ」と言うと、
「僕には、法に反したあなたたちとこそ話しがたくさんできたよ」と運転手後ろ席の人が思った。

車は埃をたてながら、間もなく姿を消した。
空の上へ上へと上がった太陽の光りはカモシカを照らし、何の音もしない広い草原は再び静かさにあふれ、遠い地平線のところから大きくて真っ黒のはげたかが現れ、そしてゆっくりと羽ばたきながらこちらへと近づき、もっとはっきりと姿が見えてきた。

1954年著 
終わり

モンゴル語の原文を読みたい方、ぜひ下記の文字をクリックし、原文 Шарагчинをご参照くださいませ~
モンゴル語で難儀のある世を

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